5/11/2009

検認

あるところに,たいへんへそまがりな息子(むすこ)がおりました。
親父(おやじ)が病気になり,もう死ぬという時に,息子を呼んで,
「もはや,わしも,この世(よ)におさらばじゃ。いっておくが,わしが死んでも,必ず(かならず)、葬式(そうしき)などはするなよ。こもに包んで(つつんで),川(かわ)へながせ。」
と,心にもないことを言いました。
 実は,この親父,前前(まえまえ)から,息子のへそまがりぶりを知っていましたから,遺言(ゆいごん)は,反対(はんたい)の事を言っておけば,立派(りっぱ)な葬式をするだろうと思ったのです。
 ところが,親父の遺言をじっと聞いていた息子,
「安心してください。これまで,親(おや)のいうことは,何一つ(なにひとつ),聞かなかったから,せめて,一生(いっしょう)に一度ぐらいは,言われた通りにしましょう。」

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